誠意のない相手。

それは私がまだ独身だった頃の話。
結婚披露宴の案内状を送付するに辺り、ある音楽系アーティストを招待したいと旦那が言い出した時、内心「来る訳ないじゃん」と思っていた。
仕事上の繋がりがあるならまだしも、あくまで一ファンに過ぎない旦那の為に時間を空けてくれるとは到底思わなかったのだ。
ところが、旦那はそうじゃなかったらしい。
というのも、そのアーティストは比較的ファンとの交流を持つ人であり、これまでにも幾度となく言葉を交わしていたのだとか。
それ故、是非とも披露宴に…と考え、取り敢えずは事務所サイドに打診をする。
応対したのはマネージャーと名乗る人で、その人曰く「どうなるかわかりませんが、招待状だけは送付してください」とのこと。
この時点で失礼な人だなと私は思っていたが、旦那がそう思わなかったのはこれまでの積み重ねがあったからだろう。
さて、出欠の締日が過ぎ、案の定そのアーティストからは何ら反応がない。
通常ならば直接本人に確認するところだが、相手が相手だけに「これは欠席とみなすべきでしょう」とバッサリ。
事実非常識であったし、祝電一つも手配出来ない人といった印象が私の中では強い。
だからだろうか、ここ数年は名前を聞くこともなく、完全に「過去の人」と化しているようだ。(実際には活動しておられるのだろうが)

さて、昨日の話である。
週末に行われる某イベントのチケットをやっとの思いで入手した私。
開催日時が迫っていることもあり、発券期限は木曜日の夜まで。
慌てて必要事項をメモした上で近所のセブン=イレブンに駆け込んだ次第。
レジの人も慣れたもので、こちらのメモを見ながら素早く処理を行ってくれる。
こうして無事にチケットが発券されたのだが、問題はこの後に発生。
実はこのイベント、ちょっとした宿題が幾つかあって。
そのうちの一つは専用サイト(チケットを保有している人間しかアクセス出来ない)で受け付けているという。
早速指定されたURLにアクセス、指定された文字列を入力してみる。
ところが、その数字は無効だという。
最近老眼が酷いし、数字を間違えただろうか?と思い、今度は届いたメールに記載された文字をそのままペースト、これで大丈夫だろうと思ってクリックをすると、再び無効な数字とおっしゃる。
いえいえ、戴いたメールにははっきりとその数字が記されているし、その数字を元にチケットは発券されている。
それなのに無効とはどういう訳だ?
そりゃ、厳密には「座席引換券」であるし、実際の席は当日にならなければわからないけど、それでも宿題に参加する資格は十分ある筈だけど?
ということで、完全にブチ切れた私は問い合わせフォームに事務的なメールを送る。
今になって名前を書き忘れたことに気付いたが、ちゃんと問題の数字は記載したし、メールアドレスとて偽装はしていない。(する必要もない)
問い合わせを受け付けましたよ…といった事務的メールも届いているから、知らないとは言わせない。
後は先方からの言い訳を待つだけだが、待てど暮らせど返事がない。
実はその宿題を実行出来るのは明日の夕方ぐらいまでで、それ以降はアクセスすることすら不可能なのだ。
駄目なら駄目で諦めるしかないが、そのまま無反応というのはあまりにも失礼だ。
前述のアーティストの場合は「興味のない相手」なので「その程度の人」とバッサリ切り捨てられたが、今回は「興味のある相手」であるせいか、バッサリ切り捨てることも出来ず、苛立ちは募る一方。
そりゃ向こうからすれば、どうでもいい苦情メールさ。
私とて馬鹿じゃないからそれぐらいわかっている。
けれど、そういう時に(嘘でもいいから)それなりの対応をしておくことで相手の怒りを和らげ、結果的には好印象につなげることも出来た筈なのだ。
特に「事務的な対応が嫌い」「頭から否定されると悲しい」協調タイプは最初が肝心で、この段階でうまく宥めないと「手に負えないクレーマー」と化す危険性がある。
即ち、理屈が一切通じず、傷ついた感情の修復を執拗に求めてくるのだ。
そういう意味では「最恐のクレーマー」になりうる協調タイプ。
悲しいかな、私もその要素がかなり強く、一度感情が爆発してしまうと自分でも制御不能。
結果、互いに後味の悪い思いをするだけで、何ら気持ちが晴れないのである。
だからこそ、「所詮、その程度の輩」と私は切り捨てる。
そうすることで自分の気持ちを宥め、執着するだけ虚しいだけと言い聞かせるのである。
決して褒められたやり方ではないが、そうすることで私は自分の感情を飼い慣らしている。
今回の件も、こうしてネタにすることで「過去の話」とすることが出来る。
悲しいけど、相手に誠意がない以上は期待するだけ無駄なのだ。

 

 

 

その後、先方からメールが届いていることに気付く。
返信がきたのは今日の午後2時53分。
問い合わせをしたのは昨日の午後5時48分。
正直「遅すぎる」と思っている。
何しろ〆切は明日の午前10時。
残された時間はごく僅かなのだ。
「宿題」を処理する為にはそれなりの時間が必要。
せめて朝のうちに連絡が欲しかったな、と。
何れにせよ、「その程度の輩」といった印象に変わりはない。