言葉の力

いつものように身支度を済ませ、いつものように自宅を出る。

たまたますれ違った郵便配達員と軽く言葉を交わしながら、駅へと急ぐ。

今日は雨。

土砂降りを覚悟したが、それほどでもない。

とはいえ、歩きにくいことには違いはないので、足早に踏み切りを渡る。

その時、さっきの郵便配達員と再びすれ違った。

「お気をつけて。」

さりげなく発せられた言葉に、私はハッとする。

「お気をつけて。」

この言葉を最後に使ったのは果たしていつのことか。

勿論、声をかけられたこともない。

その言葉の温かさに気付くことなく、今日まで生きてきたのだから。

「お気をつけて。」

何と美しい響きなのだろう。

私の心はすっかり満たされ、その後も順調に仕事をこなすことが出来た。

美しい響きの言葉は人を幸せにする。

もっと言葉を大切にしなければ。

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